2016年5月1日日曜日

第15回 六左衛門古道踏破ツアー!18時間のサバイバルトレイルでした・・・  Survival Trail

※時間をみて、動画にしたりしたいのですが、取り急ぎ、本当に大変だった第15回 六左衛門古道踏破ツアーを記録しておきます。

2016年(平成28年) 4月30日

外はまだ真っ暗。星が見えています。
3:00 ここは烏帽子の里
全員がそろって独特の高揚した雰囲気に包まれています。
※マラソン大会の直前のような…静か、けれど圧力があるような(^_^;)
大きな話し声は聞こえません。様々な思いをひめ、これからの他に例のない過酷なツアーのイメージをされているのでしょうか・・・
3:15 このツアーの世話人・代表である霜越嘉夫さんから挨拶がはじまりました。
そしてお神酒が配られ、道中の安全を祈願しました。
出発します!
今年は残雪が本当に少なくて、例年であれば、出発地点から歩いて1時間くらいして到達する場所まで車で送迎してもらえるとのこと。(でも、実際は全く楽にはなっていなかったんですが…それでも車で少しでも行けるところまで行けたことが、後々本当にみんなが無事に帰還するために役だったんです)

烏帽子の里から6台の車に相乗りして、総勢24名(上早川側と小谷側、それぞれ半分ずつ参加)の登山(古道踏破ツアー)参加者が降り立ちました。送迎メンバーとしばし挨拶、お話しをして。あちこちで笑い声も聞こえて。
3:50 出発します!
4:16 最初のポイントの小屋に到着。
周りから「ここにこの時間で到着とはずいぶん助かるね~。1時間早いね。」との声が聞こえます。
10分ほど休憩して、再び出発します。
空が赤みを帯び、濃い青からオレンジまでの美しいグラデーションが現れ、
その中を静かに歩いていきます。
5:20 ずーっと気になっていた、あちこちにみられる大きなクマの足跡。
毎年のようにクマに会うとのことで、足跡をみるたびにサッと緊張したりします(私だけかな(^_^;))。
鉢山、阿弥陀山がみえてきました。
昨日は本当に寒かったのですが、山々の頂は新雪が積もっていました。
6:10 阿弥陀山を望みながら10分休憩です。
ここがめちゃくちゃ寒かった・・・(-_-;)
手がかじかんで痛かった・・・出発!の合図があってヘルメットをかぶろうとしたら、あごひもがカチッとできない(-_-;)。気づくと最後の一人に・・・
※いや~焦った・・・もういいや、と思ったりして(マジ!?(-_-;))。班長の相澤さんが助けてくれました。
寒さ対策、必須なんですね(山登りの基本ですね)
そんな焦りと、早々と落ち込んだ気持ちを癒してくれたのが、太陽の日差し。
日のあたるところに移ると、一気にかじかんだ手も戻り、ホッと落ち着けます。
そして、氷をまとった木々が日の光に輝く、幻想的な景色・・・元気をもらいました(#^.^#)
4時前のスタートからず~っと雪上です。このあたりはパウダースノー。
木々の枝は凍りを付けています。風の向きかな?一方方向に伸びた氷。
これらが太陽の光を受け、一斉に輝いていました。
6:50
小休止。一昨年の写真でも出てきた峠。
「さぁ、これからここを降りて、あそこを登って、また降りて、そのあと登れば小谷が見えるぞ」
「順調、順調」
といったベテランのみなさんの声が聞こえてきます。その話をちゃんとイメージすると、とんでもない話に聞こえるのは私だけか・・・1500~2000メートル級の山を3つくらい登り降りする感じ??
ここで集合写真を撮りました。
早速降りていきますが、道があるわけではありません。
この六左衛門古道ツアーは毎年、同じ道を通るわけではないのです。「大体この方角」という感じで道無き道をその時の状況を判断して進むのです。
※道中、そのへんのことを近くの方に確認すると「いや~山菜採りにとっては、道がないところが普通だからねぇ」と。六左衛門古道という道を歩くのではない、とこのとき初めて気づいた私です(・_・;)
8:00 おおよそ1時間くらいでちょっと休憩、というペースで歩きます。
このあたりから雪のない道。そして結構凄まじ藪(やぶ)の道。
もう勝手はわかってきましたが、普通に考える「道」はなくて、向かう方向でなんとか歩けそうな場所を選んで進んでいくのでした。
途中でウドブキの群生地がありました。
この谷は例年だと雪で埋まって(積雪が2~3メートルある)いて、ずっと楽に雪の上を渡れるそうですが、今年は下まで降りて川を渡らなければなりません。逆にそのため、ウドブキなんかが見つかったりするのですね。
時間をかけてルートを探して少しずつ降りていくメンバーたち。
※そんな中、信じられない動きでウドブキをとっていく達人たちもいました(-_-;) 上早川側のメンバーの数名ですね(送迎をしてくれる方々へのお礼として、目を見張る所作で取っています)。怖くて行けない場所にもスイスイ。ふっと「人ではないのかも・・・」と思ってしまう様子を何度となく見させていただきました。
ここは最初の難所でした。
ロープも使って、時間をかけております。
この谷を降りるのに1時間くらいかかりました。
下の右の写真。丸太を運ぼうとしていますが、これは川を渡るための橋にしようとの試みです。
しかし重くて、とても川までは運べないということで断念・・・
9:20 海谷渓谷の上流
さて、最初の川渡り。
丸太の橋を断念し、ロープを張って渡ることになりました。
かなりの勢いのある流れ。長靴のままだと水が入ってしまう可能性が大なので、ほとんどの方は素足になって渡りました。
触れると痛みを感じる氷(こおり)水です。ロープをしっかり持って渡ったあとの足が赤い・・・(-_-;)
川を渡る時間は全部で15分くらい。順調でした(めっちゃ冷たかったけれど)
その後は、再びヤブをかき分け、道無き道を今度は登り続けます。
そして1時間後。
10:40 上り途中で小休憩。水分補給します。
このあたりで「う~ん、ちょっと厳しいなぁ。予定通りに到着できるかなぁ・・・」といった声がベテランから聞こえてきましたが・・・(聞こえないふりしましょう)
※実はこのあたり、初級者の私はランニング・ハイのようなクライマーズ・ハイのような状態になっていたような気がします。疲れを感じなくなり、楽しい感じがしていましたね・・・こんなことは初めてだ。
出発します。ここからまた上りが続きます。
あそこまで行ったら平坦になるかな、という思いを何回したでしょう・・・(-_-;)
左が鉢山、真ん中が昼闇山、右端の白い山が新潟焼山。
日本アルプス きれい・・・
12:06
なんとなく、もうずっと歩き続けてもいいや、とやや思考停止状態になってきた頃、
昼食休憩となりました!(^o^) (私のクライマーズ・ハイはすでに終わっています)
※ここはどのへんだろう・・・「もう半分くらいは行きましたか?」と近くの班長さんにきくと、「どうかなぁ、まぁ半分は来てるだろう・・・」とのこと(^_^;)。でもこの時間で半分ということはあと8時間かかるということか?
12:40ごろ 出発
ちょっと本当にゴール到着が微妙になってきた(17:30に小谷温泉到着予定が1時間以上遅れそう)みたいなので、早めにスタートです。(-_-;)
いやいや、本当に道無き道を進みます。
ヤブをかき分け、しっかりアイゼン、スパイク、ピッケル、ストック等を効かせて、ゆっくり慎重に降りていきます。
※それにしても、アイゼンやピッケルは必須ですね。普通の山開き登山的な登山しか経験のない私は、「スパイク付きの長靴があったほうがいいよ」という「あったほうがいい」レベルで、別に普通の長靴でもやれるだろう、と思っていたのですが、なんとなく虫の知らせで、人生の先輩の方にアイゼンとピッケルをお借りしたのですが、これが本当に助かったのでした。
雪が予想以上に少なかったため、「ここからなら、なんとか進めるだろう」という限られた場所を慎重に見つけだし、ひとりずつゆっくりと降りる場面が何度となくあり、そこで時間を使います。
※例年より何時間もかかった大きな理由です。
13:45 2つ目の谷。再び川を渡ります。この川も下の方では海谷渓谷に合流しているそうです。
ロープを使って渡ります。
次々と行く手を塞がれます・・・これが本当の山歩きか・・・
※このころ、なんと私は2回目のクライマーズ・ハイのような感じ。恐怖心は疲労感がなくなっていました。そして今まで経験したことがない疲労感、限界を超えた生まれて初めての極限状態を後半に経験するのでした・・・
13:55
ここではロープ組と岩にしがみついて渡る組と分かれました(^_^;)
どちらも無事渡れました(ちなみに私はロープ組)。
雪が本当に少なく、ところどころで急流がむき出し。
※アイゼンかスパイク長靴でなくては危ないと思います。
川を渡ると、再び上り。この上りがきつかった・・・
この時間帯の雪はザラザラととけて、しっかり踏み込んだつもりでもズルッとずれる、滑ります。
それがさらなる疲労感を掻き立てるのでした。
※この頃、私は寒さと疲労で正直限界が来ていました。1回めの限界です。
※休みたい・・・でも休むと間違いなく明るいうちに到着できない・・・理屈抜きに歩くしかありません。それにしてもきつかった・・・休憩がなかった(-_-;)
15:50 久しぶりの休憩。2時間近く歩きました。
風が強くなり、そして冷たい。
持っている人は服を着込んでいました。
※多くの人が出発時の明け方の装備に戻していました。
ベテラン勢の検討の結果、例年のルートは雪が少なすぎて時間がかかりすぎる(今日中に到着できない)。
茂倉峰まで行って、そこから1時間かけて雨飾山の山頂近くまで行き、登山者の足あとを見つけて下山する、
という方針になりました。
それにしても急に寒くなってきました。
※下の左の写真は雨飾山です。
尾根づたいにひたすら、ひたすら歩きます。
油断をすると一気に滑り落ちてしまう、シャーベット状の雪の尾根。
※個人的には、もうわずかに残る気力を後先考えず惜しみなく使って一歩一歩進んでいる感じです。
16:45 もうすぐ茂倉の峠です。三角形の先っぽのような尾根を歩いて行きます。
小休憩。さて、どうするか・・・
雨飾山の山頂近くまで行かなくては、登山者の足あとは見つけられないけれど、
そのルートだと間違いなくあと3時間以上はかかるとのこと。
それよりもより近い道を探しながら、キャンプ場の方向へ向かったほうがいいのでは?といった声もありました。雨飾山の山頂のすぐ近くまできています。
※このときには、4,5人の年配の方々(70代後半)からも「もう限界だ」「オレが一番しんどいと思うわ」との声が聞こえていました
(イエイエ、きっと私が一番参っていると思い・・・ます・・・よ。ガクッ(-_-;))
「こういう時は、時間はかかっても確実にわかっている(暗くなってもすすめる)ルートで行くべきだ。」という意見が最終的に通り、雨飾山の山頂付近、笹平あたりまで行って、そこから登山道を下山する、ということに決定しました。

17:00
この辺り、もう歩くしかない状態です。
※個人的には2回めの限界がやってきていました。「もう休みたい。もうひとりでも足を止めよう。」と繰り返し思いながら、心のなかで泣きながら、一歩一歩、足を前に出していました((^_^;)情けない・・・)
17:50 歩き続けています。もう休憩は一切なし。
このあたりで日がさしました。
見渡すと・・・神秘的な壮大な景色が広がっていました。
それにしても苦しい・・・(-_-;) 息があがり、本当に一歩一歩。
ちょっと雑に歩くとズルと滑って余計な体力を消耗。それどころかずっと下まで一直線に滑り落ちてしまう、角度のある斜面をトラバースしまくります。
※なんでオレここにいるんだろう・・・何度自分に聞いていたことか・・・(^_^;)今だから笑えるけれど・・・)
18:10
笹平あたり。もうすぐそこが雨飾山の山頂です。
ようやく登山道の分かれ道までやってきました!!!
でも・・・目に見えて日が落ちて、暗くなってきています。
そしてここからが、もう・・・言葉では語りきれない大変さ
薄暗い中、すぐ近くが崖の雪渓をずり落ちたり(このときは本能的な恐怖を感じましたよ・・・)、
瓦礫だらけの(本当に登山道か?間違っていないか?)斜面を転けそうになりながらなんとか下り、完全に暗くなった中、ヘッドライトで足あとを見つけながら、もう無我夢中で必死で歩き続けたこの時間帯は3回めの限界状態。

途中で全員が揃っているか集まって、食べ物を持っている人が周りに分けていたソーセージ(私はお腹が減っているはずなんだけれど食べられなかった)。
「ここまでくればあとは安心」という声を聞いてからの下山道中の長かったこと・・・
もう必死で歩き続け、写真をとる余裕なし。

20:10
下の写真はようやく平坦な雪道となり、なんとかデジカメを出して撮影した最後の写真(^_^;)
このあと10分ほどで雨飾高原キャンプ場登山口に到着。
その後は迎えに来ていただいていた車(5台だったっけ)に乗り込み、小谷温泉、山田旅館へ。
予定では、17:30到着、18:30宴会開始、でしたが、もう少し遅かったら遭難届けが出されたかもしれなかったとのこと。よく全員無事に到着できたなぁと感無量。

ベテラン揃いの24名(私は極めて無謀だった数少ない初心者)みんながクタクタで、心身ともに本当にハードな(「こんなことは初めてだ」と多くの人が言っていたもの)、第15回目の六左衛門古道踏破ツアー。
一生忘れられない一日となりました。

※今回で初めて気づいたのですが、「もうだめ、限界だ」と心底思っても、圧倒的な自然の強制力の前ではそれを超えちゃうことができるのですね。しかも1日に3回も(^_^;)。それはめっちゃ貴重な経験になりました。
※それでも、あと1,2回限界にきていたら、本当に危なかった(意識が薄れたりして大事故につながったかもしれません)。薄氷の上の、結果的に幸運な経験だったのかもしれません。

六左衛門古道とすべての関係者の皆様に感謝します。
~ 終わり (*^^*) ~

2 件のコメント:

  1. 返信
    1. いや、本当に・・・一生に一度あるかないかの体験だったと思います。ぜひ一度いかがですか?そのときは私も多分・・・付き合います・・・(多分)

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